インターネットの中で面白い記事を見つけました。昨日書きました電気の50HZと60HZの違いが静岡にあると言うような日本の東西の違いです。長い文章なので2回に分けて掲載します。
明治20年に日本で初めて電力供給が始まった当時は「直流」で、二年後に変圧の容易な「交流」に変わったが、周波数は発電所によって区々だった。
そこで電力会社は周波数の統一に踏み切ることになったが、明治29東京電力の前身東京電灯はドイツのAEG社から50Hzの発電機を購入し、その翌年、関西電力の前身大阪電灯はアメリカのGE社から60Hzの発電機を購入して操業を始めた。
以来百余年、電力は新潟県の糸魚川・静岡構造線の富士川を境として50Hz域と60Hz域の二つの地域に別れたままである。地震との関わりのある日本列島を分断する断層帯(フォッサマグナ)を境にして東西の電力周波数が異なるのは奇妙な一致である。
その昔は家電製品の仕様の違いのために、地域を越えて引っ越すのは不便があったが、最近は殆んど共用になったし、JR在来線も途中に境があるが、東海道新幹線は東京まで全線で60Hzの電気を使用している。
古くは奈良時代に三関、即ち越前の愛発関、美濃の不破関、伊勢の鈴鹿関の三つを結んだ線より西を「関西」と呼んでいたようで、その後、愛発に替わった近江の逢坂関または勢多関を結んだ西を指すようになった。
一方「関東」という言葉は「関東管領」「関東公方」に見られるように、室町時代以降に登場する。それ以前は坂東と呼ばれ、坂東とは「坂」の東で箱根の坂(足柄峠)を指した。江戸時代には「関八州」と呼んだが、その場合の関とは箱根の関所であったのである。
従って、関東、関西という呼称はそれぞれ東西で別個に成立したもので、時代や地域によって変わる曖昧なものである。
また「西日本」「東日本」に分ける場合があるが、プロ野球の「東西対抗オールスター」という場合、愛知県の中日ドラゴンズの選手は西軍に所属す る。しかし、同じプロ野球のイベント試合でも、「出身地別東西対抗戦」になると愛知県出身の選手は東軍に所属する。こちらの東西区分もケースバイケースで 適当なのである。
これはちょうど、名古屋名物の「きしめん」や「ういろう」が、「うどん」や「羊羹」と比べて硬さや甘さが中途半端な感じがするのに通じているように思える。
その昔さるTV番組で、東西の文化を比較するため、「アホ」と「バカ」という言葉が、日本全国にどのように分布しているか調査したことがあり、番組プロデューサー松本修が『全国アホ・バカ分布考』(太田出版)として纏めて話題になったことがあった。
それによれば現在関西以外で使われるバカも元を質せば、白楽天の詩に出てくる「馬家」に由来するとすれば、平安時代の女房たちにも諳んじられていたから、都を中心に使われていたという推定が成り立つという。
しかし調査時点では京都中心に半径200?以内の近畿圏では「アホ」が使われ、その外側は「バカ」が使われていたという。「アホ」の語源も秦の始 皇帝が造った阿房宮に由来するという説があり、この中国史上最大の宮殿は巨費を投じたことが秦の滅亡を早めたとして、愚かという意味で阿房→阿保→アホウ →アホになったともいう。
いずれも俗説だろうが、その間の中京地区で使われる「たわけ」の語源が相続で田地を全ての子に平等に分け与えていると、結局は皆が狭い田になり生活が立ち行かなくなることから、田を分けるのは愚かなことだという話にも通じていそうである。
このような例から東西の違う文化が何処に境界があるかを探すことが行われ、最近TVでも「うどん」と「ソバ」が富山県の高岡では「ちゃんぽん」と して両者が一緒に入ったものが標準的に出されていて、夫々の勢力圏の境目であることが紹介されていた。解説によれば、関西圏の「氷見うどん」と関東圏の 「立山ソバ」が共存する土地柄でもあるともいい、その出汁の特徴も東西にあり、やはりこの辺りに境目があるらしい。
この出汁の違いはインスタントであっても区分され、日清食品の『どん兵衛』のつゆ味が関東と関西では違っていて、東日本向けのスープの味は鰹だし に濃口醤油を使用して「カツオと昆布の円やかなコクのつゆ」、西日本向けは鰹と昆布だしに薄口醤油を使用し「昆布風味の柔らかな旨味のつゆ」というが、特 に表示はしていないようである。
これはうどんに限らず多くの料理で出汁をとる時、関西では昆布から、関東では鰹節からとることが多いからであるが、とりわけ鰹節は勝男武士に通じ るということで、武家社会の江戸で重宝されたらしい。一方、昆布といえば北海道が産地だが、江戸時代は東北地方東岸の太平洋航路より日本海を通る西回り航 路が発達しており、北海道の昆布は江戸ではなく大阪に運ばれた。そこで大阪で昆布の加工業が発達し、とろろ昆布のみそ汁、塩昆布のお茶漬けなどが庶民の食 卓の定番になっていた。
尚、『どん兵衛』の味付けが変わるのは、富山辺りから関ヶ原、鈴鹿山脈辺りになるそうだが、その他のマルちゃんの『赤いきつね』やエースコックの 『力うどん』なども関西と関東では味付けが異なる。特に『赤いきつね』や『緑のたぬき』は東西二種ずつ四種類もありパッケージにキチンと表示されている。
一般に麺類といえば関西はうどん、関東はソバといわれるが、元々上方落語「時うどん」が江戸で「時そば」になったという。これは温暖な西日本に比べて、気候の冷涼な信州や甲州、北陸地方では悪条件の土地で育ち易いソバの栽培が盛んだった事情が大きい。
唯、関西と関東では、うどんやソバの品目の呼び名が違う。何も具が入っていないうどんを関東は「かけうどん」関西では「すうどん」という。また「きつね」や「たぬき」となると相当ややこしくなる。
大阪では甘辛く煮た大きな油揚げが入ったものを「きつねうどん」というが、関東では細かく刻んだ味を付けない油揚げが入って「きつねうどん」とか 「きつねそば」という。これは大阪では「きざみ」といい、別の種類になるし、さらに「きつねそば」は存在せず、単に「たぬき」と呼ばれる。
逆に関東で「たぬき」といえば、「タネ抜き」から天カスの入ったうどんやソバになるが、これを大阪では「ハイカラ」と呼ぶ。これも京都では少し違うから一層ややこしい。さらに天ぷらうどんも大阪は海老天、東京は野菜のカキアゲ、九州では薩摩揚げとなる。
同じようなことは関東の「おにぎり」と関西の「おむすび」にもある。
その違いは関東では三角型が主流で、海苔で包むのに対し、関西は俵型で海苔も巻くがゴマを降りかけたりする。その境目も中京地区にあるらしい。そ れが油揚げを巻いた寿司になると、関東では四角で「しのだ」と呼び、関西では三角で「いなり」と呼ぶから面白い。夫々稲荷にお供えの米俵と倉稲魂神のお使 い狐の耳の形をイメージしたといわれる。
肉といえは関西では牛肉で、スキ焼にしてもカレーにしても、ましてや肉ジャガになると牛肉が主流である。元々関西は豚肉より牛肉が好まれる。松阪 牛、神戸牛、近江牛など牛肉のブランドも多く、一戸あたりの牛肉の消費量は関東よりも多い。逆に関東は豚肉が主流で消費量も関西より多くなる。
それは中華饅頭にも表れ、大阪は551の「豚マン」に対して関東は「肉マン」という。関東では「肉」といえば牛肉、豚肉、鶏肉など食肉全般を指す が、関西で「肉」といえば牛肉に決まっていて、豚は「豚肉」、「鶏肉」は「かしわ」と区別していう。お好み焼きでも牛肉と玉子入りは「肉玉」、豚肉と玉子 入りは「豚玉」と区別する。
それは魚も同様で、寿司といえば江戸前、中でも江戸時代は東京湾でもマグロが捕れたらしく、江戸っ子が好むネタはマグロである。古典落語に「目黒のサンマ」という話があるようにサンマだって東京湾で捕れたようだ。
鰹のタタキの落語もあるように、関東では赤身の魚が好まれた一方、関西で寿司といえば箱寿司、これには瀬戸内海で捕れたタイなど白身の魚が多く使われた。関西で好まれる白身の魚には他にタチウオやハモなどもある。
食べ物の話になるときりがないが、正月の雑煮も全く異なる。それは煮汁が白味噌であるかスマシであることの他に、お餅が四角か丸かまで違ってく る。藤原道長の詠んだ有名な「望月の欠けたることもなしと思えば」という件があるが、望月とは満月、餅のように丸い月という意味であり、古来餅は丸いもの であった。最近は「サトウの切り餅」などが標準のようだが、関西では「サトウの丸餅」も売られている。
(インターネット記事引用)