夏の風物詩として親しまれてきたうなぎがピンチです。27日の土用の丑の日を前に、卸値が過去最高水準で上昇しています。老舗のうなぎ専門店では「商売にならない」と廃業が続出しています。養殖に必要なしらすうなぎの慢性的な不漁が高騰を招いているとされるが、業界からは「それだけが原因ではない」との声もでています。
「特殊な商習慣がまかり通っているのが大きいと言われています。普通、鮮魚は市場に出されてセリに掛けられ、価格調整が行われますが、うなぎは、養殖業者と問屋や専門店が直接取引しています。業者の言い値で買わざるを得ない。店の弱みにつけ込んで、不当に値段をつり上げるところがある」(業界関係者)とも言われています。
都内の専門店店主は「最近では、中国や台湾の養殖業者が台頭してきて値段高騰に拍車がかかっている。彼らの中には今年、過去最高の利益を出した業者もいると聞く。うらやましい限りですよ」と皮肉ています。
しかし、養殖業者側も黙っていません。国内最大手の養殖業者、鹿児島鰻(鹿児島県大崎町)の広報担当者は、「言い値で通るなんてことがあるはずがない。そもそも、価格が上昇した分、しらす(うなぎ)の仕入れ値も同時に上がっている。利益なんてほとんど期待できない」と言っています。
水産庁によると、シラスウナギの年間漁獲量(推定)は1963年の230トン余りをピークに減りつづけている。2009年にはまだ24.7トンが捕獲されたのが、2010年には9.2トン、11年には9.5トンと2年連続の不漁だった。このままでは3年つづきの大不漁になりそうだ。
このためにシラスウナギの価格は高騰している。2004年に全国平均で1キログラム当たり25万円ほどだった取引価格は、昨年は86万円になった。最近は200万~250万円に跳ね上がり、過去8年間に10倍にもなった。日本養鰻漁業協同組合連合会は「中国からシラスを輸入して対応しているが、需要においつくかどうか」と不安を隠せない。
中国や台湾では1990年代から日本向けのウナギ養殖が急成長して、シラスウナギの捕獲量もうなぎ登りに増加してきた。農林水産省の「漁業・養殖業生産統計」によると、2010年のウナギの国内養殖生産量は2万533トン。一方で、中国と台湾からの輸入量は5万3072トンで国産の2.6倍にもなる。中国では国策としてウナギの養殖をすすめています。日本のシラスウナギの不漁を契機に 中国の養殖業者は好景気に沸いているそうです。
シラスウナギの不漁はある説によると、南米沖のエルニーニョ現象が関係していると言われています。エルニーニョ現象で太平洋の東側の海の温度が高くなりそれが日本近海まで押し寄せ、日本近海の黒潮の流れが変わりシラスウナギが日本近海に来れなくなって不漁が続いていると言われています。
非常に高くなっているウナギですが、「土用の丑の日」ぐらいはウナギを食べたいですね。