列島強靭化論

 昨日(1月28日)呉市に於いて「広島県西部地区議長会主催研修会」が有りました。
 現在、政府自民党が主張している「列島強靭化」の提唱者である「藤井 聡」京都大学教授の講演が有りました。
 現在の政府の政策についてよく理解が出来ました。

 

藤井 聡(1968年10月15日 - )
 京都大学大学院工学研究科教授、同大学レジリエンス研究ユニット長、第2次安倍内閣・内閣官房参与。専門は公共政策に関わる実践的な人文科学及び社会科学全般

 

 1.成長論のふたつのパターン

 パターンA 

 日本は貿易立国、少子高齢化で内需の拡大は望めない。だから日本が経済成長するには外に打って出るしかない。
 公共投資の効果は既に小さく、財政は破綻寸前

 パターンB  

 デフレの要因は需要不足であり、これを埋めるためには日銀による金融緩和と政府による財政出動のワンセットの取り組みが不可欠。  

 日本国債は国内で消化されており新たな国債発行に大きな支障はない。


◯過去1年間の851本の報道で、パターンAとパターンBで全体の9割を占める。 
 そのうち、大手新聞報道の88%がパターンA、パターンBはわずか、1.7%しかない。この報道環境では国民はパターンAを支持しがち。京都大学では真実は少数派に宿る、というのが定説。

 

パターンAの成長論の誤った認識
●日本は少子高齢化で成長できない論
 ドイツやロシアは少子高齢化だが、経済成長している。 人口が年率1,2%で過激に減っても、1人あたり名目成長率が3,4%伸びれば成長できる。
普段餃子を食べている人が、ちょっとイイもん食べるようになればそれで名目成長はする。 

●日本は外需主導である論
 日本が経済成長するには外に打って出るしかない。 こればかり言われているが、事実誤認。 実際は日本の経済は9割弱が内需。 しかもリーマン・ショックや欧州危機の2008年以降は外需が伸びていない。 外需が二倍に伸びても、名目GDPは1割ほどしか伸びないが、内需が二倍増えれば、名目GDPはほぼ倍増する。

●日本経済の破綻はそこまで来ている論
 日本国債は円建て。ギリシャはユーロを刷れないが日本は円を刷れる。 従ってギリシャに似ているのは日本ではなくむしろ夕張の破綻である。
 日銀は国債が投げ売りされた場合には、日銀は買い支えることができる。 国債を買い支えるとハイパーインフレを起こすなどと言われるが、国債はわずか1,000兆円しかない。 市場関係者が想定するような200~300兆円の投げ売りなら、普通に日銀が買い支えが可能。 現在の日本で日銀が国債を買い支えたからといってハイパーインフレを招来するとは全く考えられない。

●公共投資はムダ 景気対策としての効果薄論
 巨大地震のリスクが報道されており、またインフラの老朽化が問題化しているのに、危機感がない主張。
 インフレの際にはクラウディング・アウトが起こるがデフレでは起こらないことが定説。
 スティグリッツやクルーグマンも過去のマネタリスト的主張を修正して、財政出動は必要としている。

●規制緩和で経済成長を!論
 供給過剰でデフレになっているのに最も深刻な事実誤認。 
 典型的な例として、タクシー運転手は規制緩和で年収が激減している。沖縄ではタクシー運転手の年収が90万円にまで減った。
 デフレによる所得減退メカニズム(デフレスパイラル)が生じている。デフレギャップを埋めなければデフレは終わらない。

 

デフレを悪化させるには
 規制緩和・公共投資の削減・消費税の増税
 これら全てを90年代後半からこの国はやり倒している。
 世界的に公共投資は増やす方向なのに、日本だけは公共事業を大幅削減。
 デフレ放置による経済損失は1000兆円から4000兆円。 デフレで日本の経済力の凋落、失業・国民所得の減少が生じている。

 ただし、構造改革が常に☓、公共事業が常に◯ではない。
 インフレには冷ます政策として増税、構造改革、規制緩和 が必要。
 デフレでは減税、公共投資、保護貿易などが必要。


レジームチェンジ
 日本全体の思い違いによるデフレ不況
 貿易・改革成長論「A」から、財政出動・金融緩和成長論「B」へ

 

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