国際成人力調査

 10月8日OECD(経済協力開発機構)は国際成人力調査の結果を発表しました。
 調査結果としては日本では高校や大学を卒業していなくても、社会適応能力が高く、各国の高卒者と同等以上であることが分かりました。中でも、中学を卒業し、高校や大学に進学をしていない層が、OECD平均の高卒者と同程度で、米国、ドイツの高卒者を上回ったことが判明。OECDは今回の結果をまとめた報告書のなかで、日本の中卒者の習熟度が高いことを詳しく紹介している。

 

 また、今回の調査では、読解力の上位5%と下位5%の得点差が、日本は129点差と参加国中最小だったことも分かり、成績上位者と下位者の得点差が小さいという日本の特徴も浮かび上がりました。

 

 一方、OECDが3年に1回実施している、各国の15歳を対象に義務教育で学んだ知識や技能を実生活で活用する力を評価する「生徒の国際学習到達度調査」(PISA)では、近年日本の低迷が続いている。

 日本はPISAが始まった2000年、数学的応用力で1位に。科学的応用力も00年、03年と連続2位だったが、09年には、読解力8位、数学的応用力9位、科学的応用力5位となり、中国・上海などの上位に大きく差をつけられた。

 

 今回の調査でも、日本の若年層(16~24歳)は中高年に比べ、他国との差が小さいことが分かった。

 

 調査を分析した国立教育政策研究所国際研究・協力部長の小桐間徳氏は「日本では社会的な適応力が義務教育終了後の教育現場や就業の場で向上している傾向にあるが、基礎力があっての話。初期教育が重要な点に変わりはない」と話している。

 

国際成人力調査とは

 経済のグローバル化や知識基盤社会への移行に伴い、OECDに加盟する先進国では、 雇用を確保し経済成長を促すため、国民のスキルを高める必要があるとの認識が広まっています。このような中、OECDでは、各国の成人のスキルの状況を把握し、各国の政策に資する知見を得ることを目的として、初めて本調査を実施しました。

 OECD加盟国等24か国・地域(日、米、英、仏、独、韓、豪、加、フィンランド等 )が参加し、16歳~65歳までの男女個人を対象として、「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」及び調査対象者の背景(年齢、性別、学歴、職歴など)について調査しました。

 その調査結果は、各国の成人のスキルの状況を把握し、成人のスキルの社会経済への影響や、スキルの向上に対する教育訓練制度の効果などを検証し、各国における学校教育や職業訓練など今後の人材育成政策の参考となる知見を得ることに活用されることが期待されています。

 OECDから本調査の国際報告書が平成25年10月8日に公表されたのに合わせて、国立教育政策研究所が、国際報告書のうち日本に関係が深い部分をまとめて分析を加えた日本版報告書を作成しました。
 報告書の内容は以下の通りで日本は全ての分野で高得点で調査国中の中で1位の成績を挙げました。教育レベルの高さを証明しました。

 

読解力に関する結果概要
○読解力に関して、我が国の平均得点は2 9 6点であり、OE CD平均2 7 3点を大きく上回り、参加国中第1位。
○我が国は、レベル3・4の者の割合が参加国中最も多く、レベル2以下の者の割合は最も少ない。レベル5の割合も4番目に多く、参加国中上位。
○レベル1以下(レベル1、レベル1未満)の者の割合が10%未満であるのは、参加国中日本のみ。
○我が国は、上位5%の者と下位5%の者の得点差が129点であり、OECD平均152点を大きく
下回り、得点差が参加国中最も小さい。

 

数的思考力に関する結果概要
○数的思考力に関して、我が国の平均点は288点であり、OECD平均269点を大きく上回り、参加国中第1位。
○我が国は、レベル3・4の者の割合が参加国中最も多い一方、レベル2の者の割合も2番目に少なく、レベル1以下(レベル1、レベル1未満)の者の割合は最も少ない。レベル5の割合は6番目に多く、参加国中上位。
○レベル1以下の者の割合が10%未満であるのは、参加国中日本のみ。
○我が国は、上位5%の者と下位5%の者の得点差が143点であり、OECD平均167点を下回り、得点差が参加国中最も小さい。

 

ITを活用した問題解決能力に関する結果概要
○ITを活用した問題解決能力については、パソコンを使用したコンピュータ調査でのみ測定され、紙での調査を受けた者については測定されない。
○このため、PIAACでは、コンピュータ調査を受けなかった者も母数に含めたレベル2・3の者の割合で、各国のITを活用した問題解決能力の状況を分析している。
○我が国は、コンピュータ調査ではなく紙での調査を受けた者の割合が36.8%とOECD平均24.4%を大きく上回っていることから、コンピュータ調査を受けなかった者も母数に含めたレベル2・3の者の割合で見ると、OECD平均並みに位置する。
○一方、コンピュータ調査を受けた者の平均点で分析すると、我が国の平均点は294点であり、OECD平均283点を大きく上回り、参加国中第1位。
○また、レベル3の者の割合が参加国中最も多く、レベル1未満の者の割合が参加国中最も少ない。

 

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