田中将大選手がニューヨークヤンキースに入団が決まったようです。メディアによると、契約の総額は7年で1億5500万ドル(約161億円)。大リーグの投手で5番目、アジア人大リーガー、日本人大リーガーとしては史上最高額となった。
田中投手はこれ以外に、今年から2019年まで約2200万ドル(約23億円)にのぼる年俸と、契約最後の年の20年には2300万ドルを受け取る。契約には、4年目の17年に残り3年の契約を破棄し、フリーエージェントを申請できる条項やトレード拒否権の条項もある。
10球団以上が獲得に興味を示した田中争奪戦は、交渉解禁から27日目に決着した。複数の球団と交渉できる新ポスティング・システムによる最初の大リーグ移籍。交渉経過が一切明らかにならない中、代理人のケーシー・クロース氏(50)と大リーグ球団の間ではどんな駆け引きが行われていたのか。「ヤンキース勝利」のポイントとなったのは、1月8日のロサンゼルスでの極秘面談だった。
田中がロサンゼルス入りした1月8日。ビバリーヒルズの豪邸に、ヤンキース一行が現れた。車から降りてきたのは、ランディ・レバイン球団社長、ブライアン・キャッシュマンGM、ジョー・ジラルディ監督ら。元日本ハム監督で、育成担当特別補佐のトレイ・ヒルマン氏の姿もあった。
「我々がどういうチームで何を目指しているのかを説明した」とキャッシュマンGM。田中を前に、プレゼンテーションが始まった。そしてPRビデオを取り出した。ニューヨークまで足を運ぶことができない田中のため、実際に球場内をツアーしているように編集されていた。VTR中には09年ワールドシリーズMVPの松井秀喜氏が登場。ピンストライプの重みや誇りを語りかけた。
途中、ビデオが故障するハプニングがあったものの復旧。約3時間の初交渉が終わった。田中との面談を希望したその他の球団は翌9日に会ったが、出席は4人前後。ヤ軍は唯一の接触機会で最大限の誠意を示した。
キャッシュマンGMは田中を入団1年目の07年からマークしていたことを明かした。昨季は登板28試合中、15試合でスカウトを派遣。全ては勝つため――。「(共同オーナーの)ハルもハンクも父親がやってきた通りのことをした」と亡き名物オーナー、ジョージ・スタインブレナー氏を引き合いに出した。ぜいたく税を避けるべく今季の年俸総額を規定額の1億8900万ドル(約196億5600万円)以内に抑える計画を2年がかりで進めていたが、方針転換。ぜいたく税を支払うことは確実となったが「年俸削減はあくまで目標。そのために優勝するチームづくりを諦めたりはしない」と言い切った。
前回プレーオフ出場を逃した08年オフにはサバシア、テシェイラ、バーネット(現パイレーツ)の3人に総額4億2350万ドル(約440億4400万円)投資。翌年の世界一につなげた。このオフも田中、エルズベリー、ベルトラン、マキャンの4人に総額4億3800万ドル(約455億5200万円)をつぎ込んだ。「もう補強はしない」とキャッシュマンGM。最後のピースを田中が埋めた。
(スポニチ記事引用)