世界各地の伝統文化や芸能を保護するユネスコ=国連教育科学文化機関は、日本の手すき和紙の技術が世代を超えて受け継がれ、地域社会のつながりを生んでいるとして日本時間11月27日午前3時前、無形文化遺産に登録することを決めました。
「地域でこうぞの栽培を進めたり、教育現場で手すきの体験活動を行ったりして、世代を超えて伝統的な知識や技術が受け継がれ、地域社会のつながりを生んでいる」として、登録することを決めました。
文化庁は昨年(2013年)、島根県の石州半紙、岐阜県の本美濃紙、埼玉県の細川紙を申請し、ユネスコ政府間委員会の補助機関が28日(2014年10月)に登録するように勧告しました。石州半紙は09年に無形文化遺産の登録済みで、優しい風合いから京都の迎賓館の照明にも使われています。1300年の伝統のある本美濃紙や細川紙はまだ登録されていませんでした。
ユネスコの無形文化遺産には去年、和食の食文化が登録されるなど日本から歌舞伎や能楽など22件が登録されています。
登録を受けて、会見した文化庁の青柳正規長官
「これほど完璧に良い質の紙を作るのは、今では日本だけになっている」と述べて、3つまとめて登録された意義を強調しました。
そのうえで、「良質の木の枠組みを作る職人が減るなど、伝統的な和紙を作るためのインフラが弱っている。保護していかないと、すばらしい技術を維持できなくなる」と述べ、伝統技術を守るために国も全面的に支援していく考えを示しました。
安倍総理大臣のメッセージ
「独特のやわらかみと温かみのあるのある『和紙』は、障子や手紙など私たち日本人の暮らしに息づく文化であり、ユネスコ無形文化遺産に『日本の手すき和紙の技術』が登録されたことを心からうれしく思う。正倉院には今も8世紀初頭の『和紙』が伝わっており、匠たちが幾世代にもわたり受け継いできた『技』とともに、『和紙』の文化を後世へと大切に継承していきたい」というメッセージを出しました。