フランスのテロ事件から幕を開けた2015年。イスラム国による日本人ジャーナリストの人質など、何かと物騒なニュースを耳にする近頃は海外旅行を避ける人も多いようです。旅行は安全第一。海外でも治安の良さを重視して、海外旅行先を選ぶという人が増えています。
そんな中、イギリスの新聞「エコノミスト」が治安の良い国&都市ランキングの最新版(2015年度版)を発表しました。エコノミストインテリジェンスユニットが世界の50主要都市を4つのカテゴリを元に分析。その結果、世界で最も安全な都市は日本の都市が選ばれました。
【治安分析の4要素】
◾デジタルセキュリティー — 各都市のサイバーセキュリティーの質を元に算定。個人情報盗難の頻度など。
◾医療保障度 — 各都市住民の平均寿命、住民一人当たりの病院ベット数。
◾インフラストラクチャーの安全度 — 道路整備の質、自然災害による死傷数。
◾個人の安全度 — 犯罪発生率、警察の検挙率、暴力事件数など。
1位 東京都、日本
人口1335万人の大都市東京は、50都市中最も人口の多い都市でありながら、最も安全な都市である。デジタルセキュリティー部門で第1位、個人の安全レベルは第5位にランクイン。地震の多い国でありながら、インフラストラクチャーの安全レベルでも第5位という結果になった。東京は比較的富裕な都市であり、中産階級都市のなかでも1位にランクインしている(1世帯当たりの国内総生産は3万ドル~5万ドル)。
2位 シンガポール
シンガポールは個人の安全レベル項目で世界トップである。住居侵入窃盗やスリなどの犯罪発生率は10年以上前から変わらず低い。シンガポールは犯罪者の刑がとても重く、人口あたりの死刑執行件数は正確な統計がある国としては最も高い。刑の重さが犯罪率の低さに繋がっているとみられる。BBCによると、シンガポールは世界で2番目に殺人事件が少ない国である(パラオ、モナコを除く)。
暴力事件の発生を抑えられているので、地元警察は現在、サイバー犯罪の取り締まりを強化している。トニー・タン大統領はデジタルセキュリティーの強化に力を入れ、シンガポールが“スマートシティー”となるよう政策をすすめている。シンガポールは”高収入都市”に分類され、1世帯当たりの国内総生産は5万ドル以上である。
3位 大阪市、日本
266.5万人の人口である大阪市は個人の安全レベルで第2位、医療保障度では第6位にランクインした。東京と同じく、大阪も比較的裕福な都市であり、1世帯当たりの国内総生産では”中産階級都市”に分類される。
サイバーセキュリティーチームの数や個人情報保護政策の面では東京には及ばず、デジタルセキュリティーの強化が大阪市の今後の課題となりそうだ。
4位 ストックホルム、スウェーデン
最新!日本が1位、世界の治安の良い国&都市ランキング2015年版人口約90万人のストックホルムは、デジタルセキュリティーで第7位、医療保障度で第10位にランクインした。また、アジア以外の国で個人の安全レベルでトップ5にランクインしている唯一の国である。
5位 アムステルダム、オランダ
人口82万人のこの都市は、マリファナが合法であることで知られている。しかし、アムステルダムの素晴らしいインフラストラクチャーのおかげで、世界で最も治安の良い国のひとつとして挙げられている。インフラストラクチャーの質では世界第4位にランクインしており、高所得者と中産階級者で支えられたこの都市はサイクリング文化が普及している。そのため、自動車事故の減少、交通渋滞による排気ガスの減少に成功した。また、アムステルダムは個人の安全レベルで第10位にランクインしている。
6位 シドニー、オーストラリ
4万5千人の大都市シドニーは、インフラストラクチャーの安全度と個人の安全レベルの両方で世界第10位にランクインしている。しかしながら、デジタルセキュリティーと医療保障度では他の都市に後れを取っており、前者で14位、後者で17位に挙げられている。
オーストラリアは世界で最もサイバー犯罪の被害に遭っている国でもある。デイリーテレグラフによると、オーストラリアはインターネット詐欺や個人情報の窃盗などで第一の標的に挙げられている。
7位 チューリッヒ、スイス
チューリッヒは医療保障度とインフラストラクチャーの安全度で世界一位にランクインしている。理由は、スイスの充実した医療制度と適切に策定された交通網システムである。チューリッヒは都市の安全強化に積極的に投資しており、1世帯当たりの国内総生産は5万ドル以上である”高所得者都市”の第2位にランクインしている(1位はシンガポール)。
8位 トロント、カナダ
カナダで最も人口の多いトロントは世界で最も住みやすい都市として有名である。理由としては、治安の良さ、ビジネス環境の良さ、社会的な平等さ、食べ物の安全さ、生活費、都市の快適性で高い評価を得ているからである。尚、トロントはインフラストラクチャーの安全度や個人の安全レベルでも10位にランクインしている。
9位 メルボルン、オーストラリア
人口4万人のメルボルンは調査対象の50都市のなかで2番目にインフラストラクチャーが充実している都市であり、個人の安全レベルでも8位である。メルボルン住民の平均寿命は86歳であり、世界で最も寿命の長い都市のひとつとして知られている。
都市の安全度や生活費などを考慮すると、メルボルンは世界で6番目に住みやすい都市であると報告されている。
10位 ニューヨーク、アメリカ
ニューヨークはこのランキングで唯一トップ10入りしているアメリカの都市である。医療保障度では2位、デジタルセキュリティーでは3位にランクインしている。一日に6件の殺人事件が発生していた1990年以降、ニューヨークは治安の向上に力を注いできた。しかし現在では、過激派テロやサイバー戦争などの新しい脅威にさらされており、これによるインフラストラクチャー操業停止の影響力は計り知れない。