昨日(5月12日)長崎市で観光行政について調査しました。平成27年に世界遺産として登録された「明治日本の産業革命遺産」についての説明を受けました。
平成27年7月5日、わが国から推薦していた「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」が、ドイツのボンで開催されている「第39回 世界遺産委員会」において世界文化遺産に登録されました。
世界文化遺産 「明治日本の産業革命遺産」の長崎市にある構成資産
・小菅修船場跡 《こすげしゅうせんばあと》
・三菱長崎造船所 第三船渠 《だいさんせんきょ》
・三菱長崎造船所 ジャイアント・カンチレバークレーン
・三菱長崎造船所 旧木型場 《きゅうきがたば》
・三菱長崎造船所 占勝閣 《せんしょうかく》
・高島炭坑 《たかしまたんこう》
・端島炭坑 《はしまたんこう》(通称軍艦島)
・旧グラバー住宅
しかし、長崎市では「長崎教会群」の遺産を世界遺産として推挙していました。特に「端島炭鉱」の維持管理に頭を悩ますことになりました。
「産業革命遺産」は28件の資産から成り、岩手から鹿児島まで8県に及ぶ。急速な近代化を実現した日本の軌跡を示す遺産群です。新日鐵住金八幡製鉄所(北九州市)や三菱重工業長崎造船所(長崎市)など現役の施設を含むのが特徴で、政府が稼働中の工場も含めて世界遺産に推薦するのは初めてのことです。
世界文化遺産の候補は、これまで文化庁と文化審議会が選んできました。文化財保護法で定める史跡や重要文化財であることが前提でした。ところが、政府は昨年5月、稼働中の工場などを含む場合、文化財に指定されていなくても推薦できるようにするため、規制を緩和する閣議決定をしました。具体的には内閣官房に有識者会議を設置し、そこからも推薦できるようにしました。
各国の推薦枠は1つです。内閣官房推薦の「産業革命遺産」と文化庁推薦の「長崎教会群」が激しく争ったが、内閣官房の推薦と文化庁の推薦が競合した場合、優先順位をどうつけるかなど、決め方のルールはありませんでした。
裁定に委ねられた菅義偉官房長官が下した決定は「産業革命遺産」でした。長崎県と長崎市は文化庁と足並みを揃えて「長崎教会群」を推してきました。
官邸が「産業革命遺産」を決めたのは、安倍政権が掲げる成長戦略のために使い勝手のよい候補を決めたかったからだとも言われています。「長崎教会群」は完成度が高く、世界文化遺産に推薦しても経済波及効果は期待できない。その点、「産業革命遺産」は観光施設としては未整備なため、観光客の受け入れに堪える環境づくりにインフラの整備が必要になり、地元に大きな経済効果を見込める。岩手県釜石市の橋野高炉跡も入っており、「復興支援に大きく貢献する」とも言われています。
5月11日五島市から長崎まで1時間半の船旅でした。ジェットフォイル「ぺがさす」