夏本番です。我が家の庭では「あぶら蝉」が盛んに鳴いています。庭中に蝉の抜け殻が沢山有ります。
蝉の抜け殻のことを古語で空蝉(うつせみ)と言います。中世の頃から仏教が社会に根付いてきた日本では、仏教独特の死生観「輪廻転生」という考え方が広く知られていました。
人は、死んだらまた別のものに生まれ変わり、繰り返しこの世に表れ、命はあの世とこの世の間をずっと回っている、という考え方です。
現世に生を受けている姿を現身(うつしみ)と言います。抜け殻を残して成虫になった蝉は、たった数週間の命であることから、空蝉は儚い一瞬の時の象徴のように捉えられ、現身と相通ずるもののように言われます。繰り返す輪廻の中での現身は、困難も幸福も含めて、ほんの一時の儚い時間にすぎない、故に美しく尊いという日本独特の美意識「もののあわれ」に繋がっています。
もののあわれを大事にする日本では、空蝉は縁起のいいものとして扱われている文化があちこちで散見されます。
箪笥の中に抜け殻を入れておくと、着物がどんどん増えていく・枝や壁などに引っ掛かったまま落ちないでくっついているので、最近では受験のお守りにされることもあります。頭に付けると頭がよくなる、というおまじないもあります。
中国や沖縄では食材として古くから食べられてきました。
抜け殻は漢方の生薬としても古くから使われています。蝉退(せんたい)と呼ばれ、解熱作用や鎮静効果があると言われています。
•おできの化膿止めやかぶれのかゆみの緩和などの外用薬
•解熱や赤ちゃんの夜泣き
•発熱やのどの痛みを鎮める感冒薬
(トレンドリップルHP)引用
数えきれないほど沢山抜け殻があります
あぶら蝉