インターネットの中を探していると「海のデットゾーン」が広がっていると言うニュースがありました。気候変動により海に生物が住めなくなると言うショッキングなニュースです。
地球の気候変動による「海のデッドゾーン」が拡大していることが判明
地球温暖化による環境への影響が叫ばれ、地球温暖化と人類は関係ないとする理論を含めてその原因にはさまざまな議論が行われています。しかし、現実には地球上でさまざまな変化が起こっているのは事実。太平洋沿岸の広い地域では、海の生物が生息できない「デッドゾーン」が拡大しているという調査結果が発表されています。
◆拡大する死の海「デッドゾーン」
2002年ごろを境に、アメリカ大陸西海岸に位置するオレゴン州の漁場では、網に死んだ魚がかかることが非常に多くなりました。この事件は地元の漁師の間でも「経験したことがない」と衝撃をもって受け止められたのですが、いまやその発生エリア「デッドゾーン」は増加の一途をたどっているといいます。
この大量死の原因は、海水に含まれる酸素の量が少なくなることによる「窒息死」であることが判明しています。カリフォルニア・デイビス・ボーデーガ・マリーン・ラボラトリー大学の研究員であるサラ・モフィット氏はその実態を調査し、その研究結果でデッドゾーンがアメリカ西海岸の全域に広がっていることを発表しました。
さらにこの「デッドゾーン」は太平洋沿岸の広い地域にも広がっていることが確認されているとのことです。一部は日本の北海道から東北地方にかけて伸びている状況が見てとれます。この現象は、海水の対流の様子に変化が生じていることから発生していると考えられています。
◆地球の海流システムと気候変動
海水の対流は地球の内外の環境による影響を受けています。オレゴン州周辺を例に出すと、夏には大陸からの風が海へと吹きつけることで、温かく酸素を多く含んでいる海水を沖へと追いやります。表面の海水が沖へと流されることで、深海からの海流が発生します。この流れは湧昇流(ゆうしょうりゅう)と呼ばれており、深海から栄養分を多く含んだ海水を表層へと押し上げる働きを持っています。
栄養分を含んだ海水は植物性プランクトンを多く発生させ、魚やカニなどがそのプランクトンをエサにすることで海の生態系が構築されています。死んだ植物性プランクトンは海の底へと沈んで行き、地底に沿う形で酸素欠乏エリア、すなわちデッドゾーンを形成します。近年発生している状況は、この酸素が欠乏したデッドゾーンが急激な勢いで広がっているものです。
デッドゾーンが拡大している詳細な原因はまだ明らかにされていませんが、実際に規模が拡大していること、そしてその流れが加速の傾向を見せていることは紛れもない事実です。ある研究による予測では、今世紀末までに低酸素海域が50%拡大するという結果も明らかになっています。低酸素海域の拡大は生存可能な海洋生物の減少を意味しており、すなわちこれは私たちが口にする海産物の生産量が減少することを意味しています。
モフィット氏の研究からは、いかにこれらの問題が速いペースで起こるかということが語られています。 現在行われている気候変動についての議論では海面が1メートル上昇するや海洋水の酸性値が170%上昇するといったものが主流ですが、いま我々が取り組むべき問題は、環境の転換点を引き起こす複雑な連動システムと、それによって引き起こされる影響を理解することにあるとモフィット氏は指摘しています。その重要性について「これは気温だけの問題ということではありません。これは、私たち人類が『非常に安定している』と誤解していた地球の惑星システムが破壊されつつあるということです。地球のシステムは安定したものではありません。我々が気候システムに一撃を加えると、簡単に不安定なものになってしまう可能性を含んでいます」と語っています。
(インターネット記事Gigazine引用)