先日「虹」という漢字がなぜ虫偏なのかという話がありました。 漢字の「 偏 」はその文字の意味とつながりがあると言われています。
古代中国では「虫」の意味する範囲が今とは違っていました。虫の旧字体は蟲です。しかし、もともと虫(キ)という漢字が別にあり、蟲はそれを三つ並べた字です。
虫という漢字の由来は、ヘビをかたどった象形文字で、本来はヘビ、特にマムシに代表される毒を持ったヘビを指していました。読みは「キ」で、「蟲」とは明確に異なる文字でした。
外見から、「鳥」「獣」「魚」に大きく分け、このどれにも当てはまらない小動物の総称を「虫」と呼んでいました。
蝦(えび)蛤(はまぐり)蛙(かえる)は、鳥・獣・魚のどれにも分けられないことから、「虫」として扱われ、そこから虫偏がつきました。
ほかにも「蛇」(へび)「蜥蜴」(とかげ)「蠍」(さそり)などの“は虫類”や、水場にいる「蟹」(かに)「蜆」(しじみ)「蜃」(おおはまぐり)にも虫がつきます。
虹」という漢字も古代中国では、“天に住む大蛇や竜”と考えられ、やはり「蛇」が関わっていることから、虫偏がつきました。虹というの現象を、古来の中国人は龍が作り出すものと説明しました。
虹という字は、ヘビ(虫)が、大空を貫く(工)と書きました。
虹は古代では珍しい色彩と理由が不明なことからよく神話に取り上げられました。
『万葉集』では、虹は「ヌジ」と書かれていました。
「ヌジ」とは“沼の主”つまり蛇や大蛇などの“ぬし”が語源という説があり、これもまた蛇のことなのです。
また、「ヌジ」という言葉は、蛇類を表す古語ナギ(ナジ)に通じるという説もあります。
日本神話ではイザナギとイザナミが虹を渡って下界に来たとされています。